2019/08/14

羅針盤


ワールドトリガー84、85話に関して
話作りに非常に勉強になりました。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4067856
三雲修に関して
『修は薄闇にある灯火』という評価があります。

なるほどと思いました。
三雲修は別に力もないし、知恵もそこまでないし、
勇気も別にそこまで....なんで主人公になれるだろう。

そして、なんでこのタイミングでこんな話を見せるだろう。
別にこの記者会見をやらずに
そのままランク戦に行けばいいじゃないかと。

連載当時に、作者の真意はわかりませんでした。


でも
三雲修のことを『羅盤針』として見れば
色んなことが掘り浮きになる。

三雲修は『正しい目指す方向』を知っている。
しかし、あくまでも方向を知ってるだけ
目的地まで行ける道は、彼がわからない。

なので途中は必ず道を迷う。
力も足りないから、失敗はたくさんする。

それでも、羅盤針は必ず『北』に指す。

三雲修の決め台詞は『僕はそうすべきと思うから』。
彼はいつも『向かってる方向』に進めてる

例えば死んでも、羅盤針は必ず『北』に指すこと

それは役目だから。
情勢によって目指す方向を変わる羅盤針のは失格です。


そして、作者はサブテキストを使うのがすごく上手いから
多分頭がすごく良いので

ストーリーが良い荒川弘でも
基本的にそこまでサブテキストを強調しない
『伝いたいことを、ちゃんとしっかり述べる』タイプ


でも葦原大介は違うタイプ

この記者会見では
それぞれ『立場』の人が居る、
みんなそれぞれの『前提』で発言する。

それぞれの『前提』はハッキリ示せずに会話は進めてる。
大抵現実と同じにてる情報量で見せている。

だから、それはどういう意味を自分で考えないといけない。
作者はちゃんとヒントを与えてる
それでも、ちゃんと思考しないと答えを辿り付けない。

俺は連載当時に完全に理解できなかった。
でも今はちょっと分かってきた。

相手言ってる言葉表面的にだけ考えず
その言葉の後ろに隠れてる前提を理解して
そして自分が述べるべき、
確立すべき論点をしっかり立たせることは大切なんだ。

この話運びテクニックは、すごくためになりました。
いえ、話運びだけではなく、作者は実際現実に
こういう思考してると思う。

あーだから彼が頭が良いんだ。

思考は、『深く』。
言葉自体ではなく、表向きの言葉になってない本質を捕る。

こういう思考はこういうものなのか....
本当に深く考えさせました。


もし三雲修は平均的な頭で思考してる
『人を救うべき』だけしか言えないなら
作者の話作り的に
記者達の『私たちは君に責任転換したい』という『立場』に
対応できなかった。

羅盤針は『正しい方向』の意思を見せるから
人々を、流れを変わる可能性がある。
それだけで十分にヒーローになる。

そういう精神を込めて、
そしてああいう話作りのテクニックで
作者はこの2話をクライマックスとして描きました。


俺もこういう風で思考できるようになりたい。

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