2012/09/30

よくあるのネーム問題

118章のネームは打ち合わせ終了。
会心の一回と思ったけど、言われると所々は直す余地があった。

毎回毎回そう思うけど、ネーム奥が深いな......

って、ちょっとよくある問題のパターンを整理してみたい。
ネームは漫画の命から、上手くやれる方がいい。

1、内容は少なさ過ぎてスカスカ。

こういうパターンのミスは盤古の1話目しかやっていない。
ボリュームが必要のエピソードはしっかり内容が必要。
しかしまあ描きたいモノは多すぎて今、こんなミスはあり得ない。

2、内容は多すぎて詰めすぎる。

このパターンのミスも序盤によくあった。
でも大体50話以降、”何ページはどのくらい量”で対応すべき
こういう匙加減は何となく把握できる。

しかし描きたいモノが多すぎる時は今でもよくあった。
欲張りしないで、諦めるが重要だ。

この2点は基本の基本だが、割と難しい。
1つ物語は内容によって適確なページ数は存在している。
この2点は出来ると、初めて形になっている。


3、コマ割りは細かい過ぎてパワーが分散される。
これはネームが上手い作家じゃない限り、プロでもよくあるミス。

簡単で言えば
”セリフ1回じゃ伝えないと思うから3回言う”、
”1つ動きは1コマじゃ伝えないから3コマを使った”のパターン。
作家は自信が無い時によくあったミス。

重要なセリフならビシッと、強くて1度しか言わない。
同じ行動は何回も繰り返すのは逆に強度を下がるケースが多い。

一見は繊細なコマ割ように見えるだが、
よく見ると繰り返す同じ事しか伝えていない。
大抵の時は繊細ではなく作家が気弱くだけ。


4、情報不足、セリフあやふやで内容を伝えない。

作家の頭に全て情報があるから、よく読者も知っていると勘違い。
これは相手の心を読む技術が必要。
このセリフは、本当に情報を読者に正しいに伝えたのか?
誤魔化していない?誤解は本当に起こっていない?

.......こういう事は結構大変だ。
これは出来ないと、作品の情報を正しに伝えない。

作者が説明すべきモノが全て説明したと思い込んで、
しかし読者が全然理解していない大惨事になる。


5、物語を繋げるのは情報じゃなく、気持ちだ。

少なくでも読者にとってそうなんだ。
作者にとって情報が優先したい時もあるので
延々と世界観説明する、そしてそれでアウトのケースが多い。

それぞれキャラは楽器と思って、
キャラとキャラの気持ちは1つ1つの音符、そして情報は歌詞。

メロディーは下手なら歌詞はいくら綺麗でも誰も聴きたくない。
キャラの設定が良いでも、気持ちが上手く描けない人は
楽器(キャラ)の持ち味を生かせない。

これは頭が知っているのはそれほど難しくないだが
実際にやるのは鬼難度。

そう、現実に人間は自分の歌が上手いかどうか普通はよく分からない。
録音から客観に聴いたら初めて自分の音色を体感する。

”物語”を描くのは
自分の気持ちだけではなく、読者の気持ちも理解しないと
この”気持ちで物語を繋げる”の仕事は上手くいけるはずが無い。


6、見せ場は演出で印象残らせ。

これなら”絵で漫画内容を考える”人は問題になれないが
俺ような”セリフで内容を考える”タイプが時々問題になる。

一言で言えば、”見せ場ならセリフだけではなく、絵も見せろ”。
両方同時やる。それが一番ベスト。

1回は必ず”おお、このシーンは痺れるぞ”の場面を
最大限までドラマ性を高める。

覚えてくれないと作家として生き残れない。
だがら良い意味でも悪い意味でも、インパクトの演出をやる。
悪い意味を怖くてセーフしたら駄目。

大体の場合、”やり過ぎ”くらいのは丁度良い。
そんな感じで演出をやってみる方が吉。


7、重点は1つまで絞れがベスト

描きたい事はたくさん、全部描き出せると5つ6つ重点があって
逆に重点が無くなる。

主旋律を決めて。
その他の全て要素はその主旋律を生かせるための存在。

重点1つなら一番良い、2つなら”対比”のパターンもありだが
この事は商品デザインと同じ、”減算”が上手い人の方が有利。
細部を増やす増えるほど弱っていく。

美味しい食材は味を統整されないと、全体の形は破壊される。
そのために、この料理は甘いか酸っぱいか苦いか
選んでください。

”この世の全て味がある料理”は、美味しいはずが無い。
誰も食べたくないです。

映画なら1粒で何度も美味しいの作品はよくあるけど
ああいうシナリオはいくつ側面を考えないといけない。

親子の視点で見ればテーマは親子、
竜の視点で見ればテーマは共生など
こういう作品は理論が可能だが、
やっぱりその分、シナリオに膨大な時間を投下しないと作れない。

漫画というジャンルの長所はシンプル
だからあんまり勧めない。割と合わないと思う。


8、時間軸の処理、順番変わりしてみよう。

これは相当に難しいテクニック。
富樫先生のネームを勉強した時を気付けたモノ。

同じストーリーでも時間軸をずらして
イベントの順番を変われだけでも、面白さは全然違う。

一番分かりやすいの例は
”説明は終わるから攻撃する”、と”いきなり攻撃したあと説明”。

説明は先に回したら、説明はセリフだらけからつまらないし、
読者は仕組みを知ってしまうから攻撃してもドキドキしない。

攻撃は先に回したら、読者は”何が起こった?”とビックリする
そして好奇心も湧いてくる、攻撃の仕組みを知りたくなる。

基本はこのパターン。
応用すれば時間軸を自由に操って、読者をどきどきワクワクさせる。

しかしこれは非常に難しい。
だって人間の頭は、時間順で事を考えているのは普通。
イベントの順番変わりは直感に違反しているから、
出来る人は限られている。

空間感覚が優れる人こそパースやデッサンを上手く取れるように、
これは時間感覚が優れる人しかできないテクニック。

実際、作家同士の間に俺はよくこういう話をしているけど
理屈を分かるのは精一杯だった、頭が分かっても
ネームに描く時は本能に反抗できない。

盤古も情報が複雑、キャラによって視点もバラバラの回に
こういう問題にかなり苦労した。
編集長のネーム修正によって、ようやく打開策を見つける。

正直、このパターンの問題を遭った時だけ
俺一人だけじゃどうにもにならん。
打ち合わせ相手が居ないとネームが上手く直せない。

しかしこれをマスター出来る人は
間違いなくネームはそうそうに負けないと思う。


............とりあえずこれくらいかな。
まだあれば書きます。

0 件のコメント:

コメントを投稿